水の瀬音を聞きながら 
高原に降る雪は、ちらちらと積もり、
道路の両側だけに溶けない雪が翌日も残っていた。

一泊目の××プリンスホテルとは比較にならないほど
二日目の旅館は、老朽化して昔風の建物だった。

部屋にトイレは無く、廊下を歩くと男子用女子用に分かれてあり、
和式だけのトイレで、3階に部屋数だけでも30部屋もあるにも

関わらず、泊まり客は3部屋だけという薄気味悪い感じだった。
夕食の時、大広間に行けば暖房も無く、「すみませんね、壊れていますので!」

板前さんが居ないのか、家庭の主婦が作れる簡単なお料理だった。
隣のお客様が部屋のドアーを開ければ、私の部屋のドアーまで開けた様に響く。

お風呂には、バスタオルも無く、石鹸、シャンプーが置いてあるが、
誰一人入浴していない。主人に大変な旅館を勧められてしまった。

旅館の下には大きな川が流れていたので、水の瀬音を聞きながら眠った。
もう二度とこの旅館には泊まらないと主人にお断りした。