私に居場所があるのなら
 火曜日ぐらいから大学の傍のある場所で夜に同じ人に声を掛けられ続けていました。
 最初は僕の知り合いかなと思いました。其の人の声に聞き覚えはなかったけれど、余りに相手が馴れ馴れしく声を掛けたので僕が存在を忘れてしまった昔の知り合いかと思いました。
 だから相手の挨拶にも普通に返してたのだけど、数回話す内に知り合いでも何でもなさそうだと判断したので其の後は無視してました。

 何処か遊びに行こうだの、おねぃさん綺麗ですね、だのと何かむにゃむにゃ言ってた其の若者にまともにとり合う気にはなれませんでした。
 僕は遊びに行く精神的余裕は無かったし、綺麗なおねぃさんに化けた覚えもなかったので。レポートが迫っていて格好に構ってる暇が無い状態で大学の図書館から図書館へ移動している僕に何を言うか。
 どんなに自分の外見が見苦しいのか自分で判ってます。

 其の若者はほぼ毎日女子大生が多く通る大通りから外れた小道に立っているようでしたが、あれだけ熱心に声掛け運動してるんだから一回ぐらいナンパ成功すればいいのに、と通り過ぎる度にこっそり思っています。
 そして早くこの界隈から姿を消してくれないかな。じゃないとあの道が通り辛くてかなわない。