ほら、亦胃が痛い
 「少しはこっちの話も聞けよ。」「もうっ」「あ゛〜」「はぁぁぁ〜」「こっちの事考えて無い」「仕方無いな」「どうするんだ」「ちっ」「ふぅぅぅ〜」「ほんっとに…」「うっとうしっ」
 此れは僕が口に出した言葉では無い。
 
 僕に何も言わずに僕とは目を合わせずに僕の居無い空間に向かって小声で深い溜息と小言を述べ続けている人が今目前に居る。
 此奴の胸に包丁を叩き込んだら僕は楽になれるだろうか。
 
 何時の間に此奴は此処迄僕にとって鬱陶しい存在になったのだろうかと、相手を疎ましく思う自分の気持ちに気付いて愕然としている。