吊広告
 電車発車間際、にわか100Mランナーになった乗客達が「駆け込み乗車はお止め下さい」という声援を受けながら眉間に皺寄せ激しく足を動かす様を見て居たら乗り遅れそうになってしまった。

 毎朝僕が通る道にある「ドライブスルー」の矢印が何のドライブスルーへと導いてるのかさっき電車内の広告を見て知った。
 女性専用入口のある高級ブランド品ばかりを揃えた質屋のドライブスルーなのらしかった。

 帰り道に、鳴呼此処が其の質屋なのかと、再確認しつつ駅の隣の店前を通り過ぎようとしたら小洒落たディスプレイがしてある其の店のウィンドウに齧り付くようにしがみ付いて中を覗き込んでいた若い女性がいきなり後ろを振り返り僕の顔を睨み付けながら走り去って行った。
 何が彼女に起きていたのだろうか。