こうやって僕は一つずつ駄目になっていく。
 こう思い乍ら他人の手に縋って生き続けて居ます。

 「わたくしはいつもどなたかの手にお縋りして生きて参りましたの。」
 ある映画の最後の科白を思い出しました。
 そう言って紳士の腕に自分の腕を搦めた女の虚ろな微笑みも、まだ僕は覚えて居ます。