「知らなきゃ恥ずかしい日本文化」(白幡洋三郎著)
タイトルが(笑)なのは出版社がワニブックスなせいであって、中身は 99 の項目で描く日本の姿、歌舞伎や富士山があるかと思えばカラオケや風俗産業なんてのもあり、梅干や琴があれば、まねき猫や恥なんて出てくる。何よりも息づく文章がよい。

日本流〜なぜカナリヤは歌を忘れたか(松岡正剛著)
書名や装丁が ! なのはやはり出版社が朝日新聞社なせいであって、中身はしなやかで落ち着いた著者製作のジェットコースターから眺める、560 人が馴染む日本の情景である。

私は縄文日本とか戦国日本とか大正日本とかがよくて、携帯電話とコギャルと老人が多い日本がよくないとは、思わない。夜店に金魚すくいと電気あめとソース焼そばが同居し、沖縄にロックと三線とウタキが並立し、格闘技にキックボクシングとプロレスがまじるという、そういう日本の多様がおもしろいのです。
(p.28)

ようするに私は「いろいろにほん」が好きなのであって、寂しげで祭りのあとのような「色は匂へど散りぬる日本」も好きなのです。
(p.29)

文章のたゆたい具合が心地好い。
タイトル(もちろんここでは副題)の通り、童謡から書きおこしていて、永六輔の日本音楽史と自然にリンクしていくし。
一点、鏡花のところで鏑木清方でなく小村雪岱を高く買っているところは許せん! (笑) のだが、当然ながら半分は冗談である。(半分、…?)