お父さん




捨てた故郷の屋敷跡に、今も残っているでしょうか。
ずっと我が家を見守っていた父の植えた桐の木。

お正月に産まれお正月に亡くなった父。
物静かで商人には合っていなかった。

父は健康で一度も風邪で寝込んだ事も無く、
年中無休で御店を開けていたと思う。

暇を見計らい庭に梅を干したり、植木の手入れしたり、
兎に角豆に動いていたが農業は好まなかった。

母の実家が地主で子供達に田畑を分けてあげたり、
五人の子供全員に祖父が家を建てゝくれた。

父だけが「農業しないから田畑は要らない。」
土地を貰わなかった。

高崎市街中の商家に産まれ育った父は母の家に
お婿さんに来たようなものだった。

私は母より父が大好きで何時も一緒に
御店の手伝いをしたが気の毒な立場を分かっていた。

私は一日も両親を忘れず必ず供養し祈願している。
晴れた日に父に似た真っ白い雲を見る度、

「おとうさん!」追い駆けるように笑顔で
話しかけている。「いつも守ってくれ有難う。」
感謝している。

どんな極貧生活を送っても父が選んだ人生、
父には父の生き方があった事を悟った。

鳥達が夕暮れ時に山へ帰るように、
鳥には鳥の生き方があるのね。

私には私の生き方があると思う。
笑われようが真実のある場所で生きてゆきたい。

編集 さくら : 年とってからの結婚した父は92才まで生きたわ。お爺ちゃんみたいなお父さんだったの^^
編集 さくら : 私は結婚式を挙げていないから花嫁衣裳は着た事がないの。情けないね
編集 yuma : 昔の人は逞しいわ。立派なお父さん、長生きしてほしかったよね。しっかり供養続けてあげてください
編集 yuma : 昔は女の子が生まれたら桐の木を植えたというよね。お父さんはさくらちゃんの花嫁姿見たかったでしょうね