さようなら港町
列車が駅をすーっと離れ、住み慣れた町が段々遠くなる。
岬を曲がれば海は見えなくなり樹木が生い茂った山々を過ぎ次の停車駅に止まる。

駅を降りたりバスに乗ったりする度に20キロの旅行ケースを持ち上げる時、
思いっきり力を出して汗ばむ。

そして飛行機に乗れば何処までも続く青い空と白い雲を見つめながら、
3連休で込み合う機内に目をとおし、これからの暮らしを想像していた。

まるで引っ越しするような宅急便の荷物の多さ、
前回のように街中ではなく住宅地にアパートを借りてある。

ウォシュレットの機械部品、枕、ウォーターサーバー等は宅急便で送り、
家で使用していた物、保存が利く物、お米迄も運んで来た。

家を出発する前日は冷蔵庫を空にする為に深夜1時過ぎ迄かかり、
うっかりして二階寝室の窓ガラスの鍵をかけ忘れて悔やんでいる。

沖縄に着いた1日目の夜は国際通りの観光ホテルに泊まったが、
○○県の県立高校生達が宿泊していたので賑やかだった。

そして食事は国際通りに出て済ませたが、国際通りはいつも通り賑わっていた。
「あ、あのお店はまだ頑張っているわ。」等と話ながら主人と夜風の涼しい街を散歩をしながら、中国の人達が見えない分やゝ活気がない感じも受けた。

2日目はディスカウントショップで洗濯機、机、椅子、食卓テーブル、ベッド等を
安く購入し、テレビ、お布団だけはイオンで購入した。

まだ、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯ジャー、カーテン等は購入していない。
毎日少しずつ購入する事にしている。

沖縄は29度前後と蒸し暑くて冷房なしでは暮らせない。
晴れの青空が急に音もなく静かな雨ふりに変わる。

主人の強い希望で沖縄についてきたけれど、
静岡に落ち着いて住みたいと願う私も長期間別居をする勇気がなかった。

主人は静岡の老朽化した家に生涯住む気はなく、
彼の考えている事を思えば疲れてしまう。

今は、部屋の配置や必需品の買物が済み落ち着いたらスポーツ教室に通いたい。
その間、整形のリハビリに通えたらと予定している。

知らない人ばかりの町で外に出なければ孤独な生活になってしまう。
町内の八百屋さんに行く途中、沖縄生活も少し落ち着いて来た感じがする。