行ってらっしゃい 


ピンクの紫陽花が風に吹かれて散っていく。
もう色あせて疲れたように何とか咲いている。

陽光の強い日差しが降り注ぐなか主人は長旅に出発した。
午前7時20分のバスに乗って行くんだ!

パンを少しでも食べたら?半袖のシャツも少しは持ったら?
正露丸は持った? 身体に気をつけて元気で暮らしてね。

行ってらっしゃい! 気持良く見送った。
私は、初めから歯科の治療や整形の治療やガン検診が有るので
「行かないわ。」と断ってある。

私が今朝寝坊をしていたら主人は無断で出かけて行ったと思う。
今朝、彼の足音が聞こえたので直ぐに階段を下りて来たから間にあった。

今迄の話では7月に行くと言っていたが何市に行くとか、
ホテル名等は絶対に教えず、1日早めて出発した。

北海道で好きなスポーツをしたり、身心ともにゆっくり暮らせばいい。
一週間も過ぎれば私も一人暮らしに慣れてくると思うが、
今日は身体の力が抜けてしまった。

なんて弱い人間なのか、自分が嫌になってしまう。
買物に行っても友達と話しても色々な事を考えれば涙がこぼれる。

町内行事や電話対応に追われている内に一ヶ月などすぐに過ぎてしまう。
そう自分に言い聞かせながら何とか1日が終わった。