白百合
どこかで蝉の鳴くような声が聞こえる今朝6時起床。
可燃ごみを出した後、遠回りして棚田の畦道を歩いた。

苗はどんどん育ち、朝風にダンスを踊るように揺れ、
小鳥達の賑やかなさえずりが耳に残っている。

私は、強い日差しに思わず麦わら帽子を斜めにかぶった。

山々は濃青く、
富士山は雪も溶けて中腹から下に入道雲が黙々と浮かんでいた。

小川のほとりに一本の白百合を見つけて
遅咲きの百合の花だと思いながら、傍に近づいた。

この暑さに耐えられず、頭の部分だけ咲いて、
後はずっと根基までこげ茶色に枯れてしまった。

その時、遅咲きのひとりぼっちの花の孤独さを知る。
何故、仲間がいっぱい咲いた6月に咲かなかったの?

水無月に咲いていたら、辛い思いをしなくてすんだのに。。。
百合に語りかけた。

すると、「人に会えてよかった。有難う。」と返事をするように、
ぽつりと一ひらの大きな白百合が地上に落ちた。

人も同じように誰かと関わらなければ生きてゆけない。
家族、職場の人、友達など誰かと関わっている。

夕方、余りの蒸し暑さに、樹木の下で少し佇み汗を流した。
暑いから夏なんだわ。春の次に夏が好きな私である。