中秋の名月
毎年6月頃に我が家に来てくれる東京の叔母が18日に
私に会いに来てくれるので楽しみにしていた。

一人では来られない為、従妹と一緒に来る予定だが、
叔母の好きな市内の温泉宿に泊まる約束をしていた。

私が父と離れてから父のお世話をしてくれた時もあった叔母の
御恩は一生忘れない。

もしかして叔母は高齢のため今度会うのが最後になるかも知れない。
温泉宿に着いたら母の変わりに叔母の背中を洗ってあげよう。

愚痴もいっぱい聞いてあげよう。ずっとそう思っていた。
幾つになっても私のことを心配してくれて本当に嬉しい。

父の兄弟12人、母の兄弟5人、従妹は数えきれない。
その中でも○○叔母は80才の割には素肌美人でつぶらな瞳が可愛い。

身体は健康でも目の病気で一番怖い網膜剥離の手術をした頃、
○○大学病院にお見舞いに行った時の私は東京に住んで居た。

その後2回目の網膜剥離の手術をした事は知らなかった。
目は完全に元に戻っていないため歩き方もゆっくり歩く。

「○○叔母ちゃん、相変わらず綺麗ね。」
「何言ってんの、もう年で一人で行動できないわ。」

私の両親が苦労して母は早く亡くなり可哀想だった話、
従妹の長男が歯科医の勉強をしている事等のお話をしていた。

送迎をしてくれた主人も夕食だけは一緒に摂り温泉に入ると
「明日の朝9時に迎えに来ます。」そう言うと直ぐに帰って行く。

○○叔母ちゃんは疲れて午後10時頃には眠っていた。
少し大切なお話もしていたので疲れも増したと思う。

その後従妹と深夜0時まで想い出を語り眠る頃は満月に近い
月が窓ガラスにくっきり映っていた。

明けて今朝10時10分に電車、新幹線に乗って二人は東京へ向かった。
私は二人の姿が見えなくなる迄いつまでも手を振っていた。

今夜は中秋の名月(十五夜)で満月が煌々と輝きうっとりと見とれ、
次の十五夜が満月になるのは8年後らしい。

秋風の 立ちそめにしか 十五夜の 心を映す 月の光よ sakura