りんごを1個と、みかんを1個。
 昔、ある数学の講師が、小学校1年生の最初の算数の授業の話をした。
 実物を使って、
「りんごを1個と、みかんを1個、足すといくつになる?」
と問われて、種類の違うものを足すなんて出来ない、こんなことを尋ねる先生の授業など、聴いても仕方がないと思い、怒って教室を出たと言うのだ。

 今の私なら、異なる種類のものを足そうにも、りんごだろうがみかんだろうが1個は1個という形而上の世界でしか足せないのに、それを実物で児童に見せながら答えさせようとするなんて、形而上/下の区別もつかない無能な教師のすることで、明らかに間違っている、と明確に語ることができるのだが、当時は、なかなかマセた子供だったのだな、そうして突き詰めていくうちに、今は数学の教師として教えているのか、、と思っただけだった。

 さっき、新聞を読んでいて、綾戸智絵が息子の子育てについて語っていた。
 その中で、小学校の算数の話。
「1個のリンゴと3個のミカンを足しても、違う種類だから4個ではない」と息子が答え、それを聞いた(綾戸智絵の)母が「そうだね」と同調したそうだ。
その息子は、1年生の2学期から学校に行っていない。自宅で、綾戸智絵本人や母や、友人やそのつてで学生さんが勉強を見たりいろいろ教えたりしているという。

 こんな恵まれた環境ならいいけど、バカな教師ばかりでは30年後の日本はボロボロだよ、と思ったのでした。
 まあ私は、そうなる前に、見捨てて別の地にいるでしょうが。


 教育って、医者よりも、聖職じゃないの?