花の命
3月12日
夕焼が湿りがちな雲の間から、
申し訳なさそうに顔を出していた。

窓外のハイビスカスが風雨に耐えきれず、
うなだれている。

頑張らなければと力んで居たのに
身体中の力が抜けるのは何故だろう。

近所の犬の仕草に笑いがこみあげてきた。
昨日と変わらない今日だった。

私は先月中旬に病院に荷物を三個持って
遅刻すれすれに駈けこんだ。

数時間後に伴侶が来て「個室にして下さい。」
一日の料金が物凄く高い。

支払うのは私なので「明日から大部屋に
お願い致します。」部屋を変えて貰った。

検査済の身体は手術しかない。
二日目は午前中から手術が始まったが、

首に麻酔の注射をグッと奥まで何本も
打っていた。身体中の力が入って「痛い!」
小さな声が出てしまった。

時がどの位経ったのか、目覚めれば終わった
事を知り、安堵した。

今でも白いテープが6枚取れて居ない。
三週間経ったので昨日は大型店に
買物に行って来た。

一ケ月経つ迄はコーヒー、緑茶等飲んで居ない。
自宅に電話すると「良く頑張った!」
伴侶が誉めてくれた。

躑躅やハイビスカスが笑顔で
風に揺れ、心がほっこりする。

手術をしなければ半年の命と言われ、
神から頂いた命を大切に
感謝して生きてゆきたい。
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人間と家畜
どうしてだろう。
僕は悲しくて堪らない。

ポンポンポンと優しく撫でてくれる。
サッサッサと美味しい餌を与えてくれる。

そんな貴方がどうして
昨日からお母さんの様子がおかしいよ。
お兄さんも苦しんでいるよ。
お父さんは大丈夫かなァ。

毎日が辛そうだよ。
みんなの眼から涙がぽろぽろ。

注射を持った人がいっぱい来たよ。
もう立ち上がる力も出ない。

僕達なんか悪い事をしたの?
如何してなの。僕達どうなるの?

お願い神様、
みんなを治して

みんなを元気にして!
僕からみんなを奪わないで!

僕、まだ生きたいよ。
人間に食べられる家畜さえ、生きたいと
思って居るかも知れない。

まして人は、どんなに痛い検査や治療、
手術をしても、頑張って生きなければと、
思いながら生きている。

私も生きて居て良かった。
痛みに耐えた後、
嬉しさに青空に両手を上げた。

其の後には必ず幸せが待っていると思い、
将来は笑いの絶えない毎日にしたい。












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潮の香
いつも通る海辺の岩に腰をおろして、
いつものように波の音を聞いて居た。

何も考えないで眼を閉じて聞いて居た。
私の五感は全て耳に集まり、

碧い海は色を失い、
潮の香もしなくなった。

風の音も絶え、
ひたすら波の音だけを聞いて居た。

眼を見開いても何も見えない。
やがて夕暮れ時になれば
波の音がザザーザザーっと荒れて来る。

もう直ぐ母の命日がやってくる。
母はきっと何か怒っているのでしょう。

お墓参りも行かないで
自分の事ばかり考えている身勝手な私を、
怒っているのかも知れない。

喜怒哀楽の人間感情は、きっと
きっと母の胎内で育まれたのでしょう。

ごめんなさい!お母さん!
私は神様から一つ苦しみを貰ってしまったの。

今は其のことで頭がいっぱいよ。
どうか私を見守って下さい。

私は前向きに幸せになる為に頑張るだけ。
誰の力も借りず一人で頑張ります。

半分は自信がなくて雨粒のように、
涙でいっぱいになった
意気地なしである。









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貴女と立ち話したい
ほら!

あの緋寒桜の花びらの下で
生真面目な貴女と

気怠いばかりの話題で有ってもいい,
立ち話をしたい。


幼い日教室で席を共にした同郷人の貴女と
気怠いばかりの仕草であってもいい。

例えば喫茶店で「これ、何ですかと、
咄嗟に聞いてしまった事で有ってもいい。

(コップが余りに綺麗だったから)
要は故郷を大切に思う故に。

生真面目な貴女と立ち話をしたい。
昨日、話の途中で居眠りをした友達の事でもいい。
要は土曜日を大切に過ごしたい為に。

今朝、好んで食べた野菜の事等
生真面目な貴女と話し合ってみたい。

今年は沖縄に来て、
誰とも立ち話をした事がない。

この一年間の自分を責めて,責めて、苦しんできた。
数年前と変わらず緋寒桜は美しい。

あの時の緋寒桜のように、
心から笑顔でお花見出来たらいいな。









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冬椿
小高い山の中腹を吹く冬の風は冷たい。

私は友達の仕事の都合で一人静かに、
木の椅子に腰をおろして、
風の音を聞いて居た。

伴侶は恋人と初詣に
派手なカリウシウエアを着て出かけた。

何も言わずに見送り、
好きな歌を聞いた後、
外に散歩に出かけた。

やがて風の音は耐え、
草木の香りもしない。

悲しい時は何時も両親に語りかける。
「私を守ってね!」

すると天国の父に「お前の態度が悪い!」
と言う。

母は「お前はお化粧もせず、Gパン、テイシャツの
ままで全くお洒落もしない、男性みたいだわ。」

人間は心の中で嫌っていると相手も嫌う。
喜怒哀楽の感情は、きっときっと、
母の胎内で育まれたに違いない。

南国とは言え、
夕暮れどきの風は再び冷たくなり、
ひゅーひゅーっと冬らしい空模様になる。

又両親を悲しませてしまった。
大粒の涙がぼろぼろ流れた。
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