南の海
ゆいレールから降りて浜辺を歩いた。
古い木の椅子に腰をおろして

白っぽい海、マリンブルーの海、
ざざざーっと寄せては返す波の音。

私は五感を全て耳に集中し、
波しぶきを聞いて居た。

燃える太陽で海の色が見えない。
海は色を失い、潮の香を失い、

涼しい風音も耐えた。
ひたすら波音だけを聞いて居た。

親不幸な娘を両親は何かを怒り、
悲しんでいるのだろうか。

そういえば此の頃、両親に手を合わせず、
遊んでばかり。

だから深い悩みの中に入り苦しみ藻掻く、
そんな自分になってしまった。

何事にも努力をしなくなって居た。
父と母は亡くなっても、
私の身体の中で生きて居るかも。

紅葉の無い南国、
青葉と枯れ葉が舞っている。
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夜長
昼が短く感じてあっという間に日が暮れる。
午後6時は未だ明るさが残っている。

その分、夜が長く午前5時起床。
朝食の支度を済ませ、
午前6時過ぎでも外は暗い。

6時半頃になれば東の空が少し明るくなる。
亡き両親に手を合わせ15分位
「私をお守り下さい!」お願いをする。

願い事は殆ど叶っているのが、
不思議に思う。

朝一番の早起きはカラスと雀達、
時々、山鳩が番いで遊びに来る。

あの山鳩は、山越えて何処から来たの?
枝葉の茂みの中、巣箱、橋桁、水辺や
水面かしら。分からない。

小鳥達が目ざとく庭に遊びに来ると、
寂しさも吹っ飛ぶ。

私も明日は小鳥のように飛んで行こう。
そして飛んで帰って来よう。
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南国の黄昏時
立冬は、二十四節気の一つで冬の始まる頃。
木枯らしが吹き、木々の葉が落ち、
北国では初雪の知らせが聴こえてくる。

立冬は秋分と冬至の丁度中間にあたり、
暦の上ではこの日から冬となる。

先月28日に引っ越して来た沖縄県は
日本の最南端、得に台湾から50キロの
与那国島が最南端で有る。

沖縄に来て12日目の昨日は29℃の
暑い日中で汗が流れ、夏が続いている
ようで夏服、冷茶を飲んで居る。

それでも夕暮れ時になれば吹く風が涼しい。
ランタナ、ブーゲンビリアが風に揺れ、
ふわふわふわり心が和む。

長年お世話になった伯母さんに電話すると、
「嬉しい!〇〇ちゃんから電話を貰うなんて!」
喜んで、近況を話し始める。

二番目のお孫さんが筑波大学の大学院に
合格した話、三番目のお孫さんは、

筑波大には行きたくない!と東京の大学で
勉強したいとの事。長女は海外留学している。

娘さんに似て勉強の好きなお孫さん達だと
関心するばかり。

「孫達は大和んちゅんが好きなのよ!」
可なり沖縄方言が入って聴き難い。

何年、沖縄に来て居ても、沖縄言葉は難しい。
言葉のアクセントも呑んびり尻上がりである。

一番信頼している友達は実家からお父様が
お姉様達に連れられて泊まりに来て居る。

暮れなずむ空を見れば南から群雲が
幾重にも浮かんでいる。

霜月と言うのに台風26号が
沖縄を通過する予報で今日から5日間
雨が続く。台風が近づけば大雨になると思う。

丘の上の郊外は静寂で誰一人歩いて居ない。
南国の黄昏時は寂しい。
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南国



「まもなく着陸体制に入ります!
パイロットからのアナウンスが有ります!」

アナウンスが流れてから30分以上経過した。
真っ黒い雲が飛び交い視界が悪く、
前に機体が八機も着陸を待っていた。

予定時間より遅れて那覇空港に着いた。
外に出てタクシーが並んでいる順番に乗る。

何時もの集合住宅に着くと雨が降っていた。
毎年咲いていたハイビスカスも、他の花木も
全て枯れていた。

室内は荒れ放題、少しずつ片付け始め、
簡単な夕食とする。

夜も暑さでクーラーを2時間位付けて、
就寝前は扇風機を付けて眠った。

主人のPCは動かずユーチューブが出来ないと
データーを移し替えたり、PCショップに
二日間通ったり、PC以外に興味がない。

長い坂道を、私の電動キックボードで動いて居た。
椅子も付けてハンドルも替え、
買物できるようにして有る。

私はキックボードに乗りたくなくて、
坂道を焦らずに徒歩で買物に行って来る。

この街は鉄骨のビルばかり建ち並び、
木造家屋は見えない。

多分、大きな山が無いからでしょう。
早くお掃除しながら片付けを終わらせ、
ゆっくり休みたい。

落ち着いたら友達と友情を深め、
沖縄生活を楽しく送りたい。





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さよなら湯の町
私は富士山を見て涙がぽつりと落ちた。
心淋しい!と啜り泣く。

あの山もこの海も後僅かでお別れ。
小川の畔のススキも茶色がかってきた。

川の瀬音もざぶざぶと冷たく、
荒々しく流れている。

この頃は急に寒くなり
外出したくない横着者も、
大切な用事が有れば出かける。

水辺で遊んでいた白鷺やカルガモ達は
来なくなり、水辺は北風に波打つように
揺れているだけ。

再び嫌いな飛行機に乗ると思えば
怖くて、早く沖縄に着きますようにと、
ずっと願っている。

海は徐々に見えなくなり、
雲が何処までも付いて来る。

神様、どうか墜落しませんように、
小心者で何時も神様にお願いしている。

さようなら静岡の海、
さようなら伊豆の山々、
大好きな人よさようなら。

小雨ふる 午後の水辺に 鷺一羽 ぽつねんと立つ
ありありと見ゆ。
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