南国の黄昏時
立冬は、二十四節気の一つで冬の始まる頃。
木枯らしが吹き、木々の葉が落ち、
北国では初雪の知らせが聴こえてくる。

立冬は秋分と冬至の丁度中間にあたり、
暦の上ではこの日から冬となる。

先月28日に引っ越して来た沖縄県は
日本の最南端、得に台湾から50キロの
与那国島が最南端で有る。

沖縄に来て12日目の昨日は29℃の
暑い日中で汗が流れ、夏が続いている
ようで夏服、冷茶を飲んで居る。

それでも夕暮れ時になれば吹く風が涼しい。
ランタナ、ブーゲンビリアが風に揺れ、
ふわふわふわり心が和む。

長年お世話になった伯母さんに電話すると、
「嬉しい!〇〇ちゃんから電話を貰うなんて!」
喜んで、近況を話し始める。

二番目のお孫さんが筑波大学の大学院に
合格した話、三番目のお孫さんは、

筑波大には行きたくない!と東京の大学で
勉強したいとの事。長女は海外留学している。

娘さんに似て勉強の好きなお孫さん達だと
関心するばかり。

「孫達は大和んちゅんが好きなのよ!」
可なり沖縄方言が入って聴き難い。

何年、沖縄に来て居ても、沖縄言葉は難しい。
言葉のアクセントも呑んびり尻上がりである。

一番信頼している友達は実家からお父様が
お姉様達に連れられて泊まりに来て居る。

暮れなずむ空を見れば南から群雲が
幾重にも浮かんでいる。

霜月と言うのに台風26号が
沖縄を通過する予報で今日から5日間
雨が続く。台風が近づけば大雨になると思う。

丘の上の郊外は静寂で誰一人歩いて居ない。
南国の黄昏時は寂しい。
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南国



「まもなく着陸体制に入ります!
パイロットからのアナウンスが有ります!」

アナウンスが流れてから30分以上経過した。
真っ黒い雲が飛び交い視界が悪く、
前に機体が八機も着陸を待っていた。

予定時間より遅れて那覇空港に着いた。
外に出てタクシーが並んでいる順番に乗る。

何時もの集合住宅に着くと雨が降っていた。
毎年咲いていたハイビスカスも、他の花木も
全て枯れていた。

室内は荒れ放題、少しずつ片付け始め、
簡単な夕食とする。

夜も暑さでクーラーを2時間位付けて、
就寝前は扇風機を付けて眠った。

主人のPCは動かずユーチューブが出来ないと
データーを移し替えたり、PCショップに
二日間通ったり、PC以外に興味がない。

長い坂道を、私の電動キックボードで動いて居た。
椅子も付けてハンドルも替え、
買物できるようにして有る。

私はキックボードに乗りたくなくて、
坂道を焦らずに徒歩で買物に行って来る。

この街は鉄骨のビルばかり建ち並び、
木造家屋は見えない。

多分、大きな山が無いからでしょう。
早くお掃除しながら片付けを終わらせ、
ゆっくり休みたい。

落ち着いたら友達と友情を深め、
沖縄生活を楽しく送りたい。





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さよなら湯の町
私は富士山を見て涙がぽつりと落ちた。
心淋しい!と啜り泣く。

あの山もこの海も後僅かでお別れ。
小川の畔のススキも茶色がかってきた。

川の瀬音もざぶざぶと冷たく、
荒々しく流れている。

この頃は急に寒くなり
外出したくない横着者も、
大切な用事が有れば出かける。

水辺で遊んでいた白鷺やカルガモ達は
来なくなり、水辺は北風に波打つように
揺れているだけ。

再び嫌いな飛行機に乗ると思えば
怖くて、早く沖縄に着きますようにと、
ずっと願っている。

海は徐々に見えなくなり、
雲が何処までも付いて来る。

神様、どうか墜落しませんように、
小心者で何時も神様にお願いしている。

さようなら静岡の海、
さようなら伊豆の山々、
大好きな人よさようなら。

小雨ふる 午後の水辺に 鷺一羽 ぽつねんと立つ
ありありと見ゆ。
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寒露




二十四節気、寒露に入った。
夜が長くなり、露が冷たく感じられる頃。

最近は太平洋側によく台風が上陸する。
特に22号は伊豆諸島に大きな爪痕を
残して去った。

残暑が厳しいと思っていれば、北風吹いて
急に肌寒くなり、寒暖差が大きい。

猛暑が長かった今夏、身体が暑さに慣れて
20℃前後で寒く感じる。

稲を刈り取った田圃は黄色と化し、
短い秋がきた事をつくづく思う。

小川を流れる水の瀬音に胸寂しく、
この町と、もう少しで別れなければならない。

何時もの散歩道、温泉旅館があり、
其処を曲がれば高齢者施設が有る。

一、二年で沖縄行きは終わりにしたい。
と言っても私は沖縄に永住したいと、
常に考えている。

しかし、一生一人で生活出来るのか、
親戚等は無く、住む場所が不便な町である。

以前、昼は会社員、夜は友達の料亭の
手伝いを依頼され、午前零時迄働いた。

何の苦もなく生き生きと楽しく仕事を続けたが、
若さが有ったからだと思う。

今は厚生年金、厚生年金基金と伴侶から
少ない月給を頂き、経済的には生活出来る筈。

伴侶は静岡県に永住したい希望を持ち、
沖縄永住になれば別居しなければならない。

物騒な世の中、働いても安い賃金、ミシン刺繍と
和裁が少し出来るが、これからは人生を
私なりに楽しく生きてゆきたい。

伴侶は昔から好きなように自由にさせて居る。
「出て行け!」一度も言われた事はない。

寂しい二十五年間だった。
でも何処の妻でも我慢して耐えて居るのでは。
私は古い考えの人間、女である。

その時、その時に決めれば良い。
夜が長くなり、午後5時過ぎれば
とっぷりと日が暮れる。

目ざとく遊んでいた小鳥達も山へ帰って行く。
庭の柿の実が赤く色づき大きく生った。

山柿が 鈴生り重し 枝の先 sakura
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彼岸花


あれはあれはいわし雲だね!
小さな斑点や波紋を見せる美しい雲。

この雲が出るといわしが大漁になると、
言い伝えられる。夏でもいわし雲は見える時が有る。

何処に行っても彼岸花が山道や野原にいっぱい咲いて、
昨日から彼岸の入りでお墓参りをしたいと思う。

お仏壇にお供えするお萩は秋彼岸は粒あん、
春彼岸はこしあんと聞いた。

春分と同じく太陽が真東から昇り、 真西に沈む。
伴侶と彼女の電話の話声を聞く。

私は悔し涙をいっぱい海に捨てゝ来た。
海は暮れなずむ色と化し、

波の音は大きくなり、潮の匂いは耐え、
人間不信だけが心に残った。
ひたすら波音を聞いても答えは出ない。

全てを五感に集中しても、どうにもならない。
人を許す事も大事と思い、二十五年になる。

経済的にも損ばかりして「離婚しなさい。」
同情して言ってくださる人も居る。

将来の保障も無く一人暮らしをしても、
生活できる訳はない。

貯金等使えば無くなってしまう。
今の私は朝昼晩の食事の時だけ
伴侶と顔を合わせるだけで鑑賞はして居ない。

猛暑の暑さは引いて、過ごし易い秋がきた。
夏の終わりを惜しむような雰囲気の桐一葉。

葡萄、無花果、栗、梨、柿、美味しい果実が
いっぱいある。秋が始まり秋って良いな。

木の葉月に友達と紅葉狩りに行って
秋を楽しもう。

何時も丸い顔した柿に元気付けられて居る。
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