家族八景、バックヤードストーリー
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テレビ業界って相変わらず無茶苦茶だなぁ。10本中2話がオリジナル脚本となる("八景" だし)その一本にダメ出ししたら既に撮影済(!)ってなんやねんナメとんのか。
まぁしかし大人な対応だな。さすが筒井康隆、よぉ断筆宣言経験者。
でもこれ、脚本家への強烈な(そして綺麗な)意趣返し、って通じてるかなこの話の脚本家さんよぉ。
もはや長老といっていい筒井康隆でさえこんな扱いなんだから。

それにしても "おせん" のきくち正太は、不幸だった。日常的に「女中」を「お手伝いさん」とか無断で改変されまくってきたり農協(現JA)やPTAを敵に回したり右翼の街宣カーに嫌がらせされたりしてきた筒井康隆と違って、きくち正太はやはりうぶだったといっていいんだろう。出来上がったドラマの出来に絶望し、抗議も受け入れられず、ドラマの放映途中に原作漫画の連載がストップするという前代未聞(でもないのか?)の事態となり、再開したのは半年だか1年だか後に、それも続きでなく新シリーズとしてのはじまりで、その加減もあって打ち切り物やテレビ暴露系の話は単行本には掲載されず、そして再開後の話は前にも増して作家の恨みごとが多くなって耐え切れず読むのを止めてしまった。
これを不幸と言わずして何と言おう。

だから、筒井康隆が契約締結でやれやれ、ってのは視聴者の私にとってもほっ と胸を撫で下ろすときなのである。だいたい、とおに放映はじまってて第四話まで終ってるのに、しかも撮影は既に全話終了してるのに、今ごろ契約って何やねん。法的には確実にアウトやし。これでもし、筒井康隆が契約を蹴ってたらどうなるのか。何ともないのである。どこ吹く風と "巨匠" 筒井康隆の原作と喧伝しまくり、平然と最終話まで放映するのである。うまくいけば "原案" 筒井康隆としてビデオ化されるのである。
まぁでも百戦錬磨の筒井康隆、もしそんなことになったらただでは済まず、あちこちでギャンギャン吠えまくり(筒井康隆がまだ "パソコン通信" といってたころからのnetの遣い手であることを忘れてはいけない)、意を汲んだファンからの嫌がらせは脚本家・演出家を中心に身の危険に及ぶこと必定である。ファンをなめてはいけない。
まぁそうなる前に、断筆宣言とは別の手法で大々的に一般紙に載るレべルで展開させるだろうがあの筒井康隆なら。
しかし断筆解禁後は、全て一社ずつ契約書を取り交わしてからその社への連載を開始する、という形をとった(今も同じはず)あの筒井康隆相手に、今ごろ契約とは、なかなか豪放な神経をお持ちのドラマ製作陣! これでまたいいネタができたと筒井康隆の公開日記に掲載され、新たな作品の養分となり、ドラマ製作陣は筒井康隆に嗤われ、筒井康隆ファンにも嗤われるのである。

なお、ドラマそのものの出来にはこの一文は全く関係ない。今回の家族八景は。