雨を好むこゝろは確に無為を愛するこゝろである。為事の上に心の上に、何か企てのある時は多く雨を忌んで晴を喜ぶ。すべての企てに疲れたやうな心にまつたく雨がなつかしい。一つ一つ降つて来るのを仰いでゐると、いつか心はおだやかに凪いでゆく。怠けてゐるにも安心して怠けてるられるのをおもふ。(若山牧水)