生井英考
 あの生井英考が、今日の讀賣新聞夕刊で、NYテロについて論じていた。

 テロから4日後に初めて(比喩ではなく)「戦争」と公に表現されたこと、テロ直後から真珠湾との類似が報道されながら、1週間にして姿を消し、心理面への配慮から、アフガニスタンや政府の発表など、テロを直接に扱わない映像/写真と記事が中心になってきていること、そして、「報復」ではなく、宗教/人種の差別を徹底的に排除した、純化した形での「正義」による戦争へと方向づけられつつあることを述べている。

 そして、彼は、単に国家とマスコミの関係について語るのではなく、ベトナム戦争、湾岸戦争や過去のテロを経て、多少なりとも学んだアメリカの成熟した姿を見てとっている。

 その結論には必ずしも賛成できないのだが、かつて「ジャングル・クルーズにうってつけの日」で、記憶から歴史化しつつあるベトナム戦争をイメージや感覚の観点から鮮やかに描いてみせた生井英考の、優れた論考を久し振りに目にすることができた。