「天狗さま」
<<日本>>--川越--


恐ろしい形相をした面を被って巡行を待つ天狗の姿。

これも川越氷川神社に伝わる文政年間に描かれた、川越氷川神社絵巻の中の登場人物である。

天狗の面を被り、一本歯の高下駄を穿いて市内を巡行するのには、かなりの労力を必要とすることだろう。

天狗さまと書いたが、実際は天狗を思わせる姿の猿田彦(さるたひこ)が実名であり、行列の様子を描いた絵巻を忠実に再現しているのだという。

出発を前にこの天狗さま、子供を相手に盛んに愛嬌を振りまいていたが、子供の方は天狗が顔を近づけると、今にも泣きだしそうであった。