「整形外科病棟」
<<日本>>--川越--

朝早い6階に有る整形外科病棟の外観である。
1人部屋から3人部屋、そして8人部屋の大部屋までが、此処の6階の入院病棟である。
入院前に1人部屋と3人部屋の、保険の効かないベット差額の有る部屋にするか、保険適用で済む大部屋にするか担当医に聞かれたが、私は有料費用は兎も角、入院患者の様子が分かり、部屋の患者達と交流が出来る大部屋を希望した。
入院時はカーテンで仕切られた中間のベットをあてがわれたが、仲良くなったとても気の効く格好良い男性のS看護士に、窓際の人が退院した時に、そこに移れないかと頼んでみた所、早速調整してくれて入院後3日目には窓際の広いベット室に移してもらえた。
外科の入退院は実に目まぐるしい。
私が退院する頃には、長期入院しているOさんの次に、私が古い入院患者に成ってしまった。

人生様々で、難病のパーキンソン病で下半身が動けずに、夜中に寝言で大声を出すYさんは、まだ55才なのに、たった一度入院時に兄さんが付き添って来ただけ、と言った具合であった。
その彼は可愛い絵を描く特技が有り、描いた絵を女性看護師さんたちにプレゼントしていたが、自分の意に合わない女性看護師達と喧嘩腰で遣り合ったりして、絶えずナースコールをするので、結局部屋をナースセンターの前に移動させられてしまった。
彼のベットの後には、65才の身寄りの無い要介護の男性が入院し、入院手続きなどの連絡先は、日頃通っているデイケアセンターの、ケアーマネージャーにするとの事であった。
そんな様々な人生模様を見聞きするにつけ、毎日欠かさず電車とバスを乗り継いで看護に来てくれた女房や、3人の子供達が、休日にそれぞれ都合をつけて、家族ぐるみで見舞いに来てくれた私は、本当に幸せ者だと改めて痛感したのであった。
それにしても、毎晩ライオンのような大鼾を掻く同室の患者さんには、いささか閉口したが、それも4日目には慣れてしまい、熟睡出来るようになったのには、我ながら順応性の良さを見直したのであった。