「選択」
<<日本>>--川越--


若い外人女性が、数ある着物の中から選んだのは、この派手な水色の着物だった。

昨日この着物を羽織ってご満悦だった彼女は、この着物がとてもお気に入りのようであった。

確かに大柄で、目元のはっきりした彼女が選んだだけあって、彼女が羽織っても全く違和感を感じなかった。

私は彼女がこの着物を羽織っている姿を見て、一体この着物を着ていた日本の女性は、どんな人だったのだろうかと、ふと想像してしまった。

嘗てこの着物を着たであろう日本女性が、間違いなく存在した事に、思いを馳せたのである。

この若い外人女性に負けないくらい、派手なこの水色の着物が似合う若い日本の女性は、さぞ素敵な人だったのだろうと、妄想に駆られたのであった。