「射手」
<<中国>>--西安--


一ヶ月続いた松江の旅も一先ず終了とし、再び中国、スペインの旅シリーズに戻ろうと思う。

この像は兵馬俑二号館から出土した、弓を引く射手の像である。

片膝をついて弓を構える右手が、矢を番えるにしては、ちょっと様子がおかしいと思う人も居るかもしれない。

実はこの射手が構える武器は、弩(ど・いしゆみ・仕掛けゆみ)という兵器で、矢を弓の発射台に固定して、引き金を引くと、矢を発射させることの出来る、手で射る弓矢よりも強力な武器なのである。

今でも愛好家が多い、ボウガンに良く似た武器である。

紀元前200年も前に、こんな武器が使用されていたのだから、驚きである。

今BS放送で放映されている、中国で制作された「孫子の兵法」でも、この兵士と同じような鎧と髷を結った兵士達が出てくるから、実に興味深い。

脱線するが、「孫子の兵法」と言えば、日本の戦国時代、信長でさえ恐れた武田信玄も、この兵法書を熟読し、合戦の陣形に活かしたのだから、中国の戦史は日本より、はるかに古いのである。