「古物の数々」
<<日本>>--川越--


所狭しと並べられた、古物と言うより、ガラクタと呼べるような品物の数々。

十年一昔と言うが、ちょっと前まで、何処の家でも使っていたような家庭用品や置物などが、陳列されている。

火鉢などは、我が家にも此処に置かれている物より、ずっと良く見える山水画が描かれた物が、庭の片隅の土の中に埋もれている。

こうして此処に並べられている物を見ていると、あの泥に埋もれた火鉢を掘り出して、綺麗に磨き上げたら、古物として売り物になるのではないか、などと思ったりした。

一体この不動尊の境内には、何軒くらいの古物商が店を出しているのであろうか。

その数を数えるすべも無いが、このような蚤の市が、益々盛況になって来たのは、それだけこれらの品物に愛着を感じる年寄りの増えた、日本の高齢化社会を象徴しているのではないかと、皮肉な考えに思いを馳せたりしていた。