「路地裏④」
<<インド>>--ヴァラナシ--


暗い路地に黒い大きな牛が陣取っていると、流石にギョッとする。

大人しいから良いようなものの、角に引っ掛けられたら一溜りもないだろう。

横を通り抜ける男性も、ちょっとへっぴり腰の感が有る。

私はこの牛がちょっと体形を変えるまで、通り抜けるのを待ったものである。

路地の住人が牛のために道に置いた残飯を漁るのが、此処の路地に居る牛たちの狙いなのだろう。

日本でも、野良猫に餌をやるのが問題になっているが、インドでは牛は神様だから、誰も文句を言う人間は居ないのだろうか。