「街角②」
<<インド>>--ヴァラナシ--


ロータリーの中央を行く自転車の男の姿。

これはまた何とも奇妙な自転車である。

ハンドルの前に大きなスピーカーを付けているが、物売りにしては商品が何もない。

後ろの荷台に括り付けてあるのは、バッテリーであろうか。

廃品を利用して、自分で作り上げた拡声器のようである。
一体この拡声器を利用して、彼はどんな宣伝をするのか興味深いが、この時はただ通り過ぎただけであった。

戦後の日本では、こうして自分で工夫した道具を利用して、様々な物売りが来たものであるが、最近はせいぜい石焼芋屋や廃品回収の小型トラックが来るくらいである。

インドでは、嘗ての日本の街の光景を見るような場面を、随所で見ることが出来るから、私には興味が尽きないのである。