「朝の散歩②」
<<インド>>--デリー--


ホテルの裏側で見掛けた光景。

この男は一体何をやっているのだろうか。

近くに行って見てみたら、1メートル位の鉄筋を粗末な台から降ろして、2つに曲げているのである。

「おはよう」と声を掛け、「一体何をしているのか」と聞いてみたら「売るのだ」と言う返事が返ってきた。

この辺りには、たくさんのビルの廃墟が有る。

恐らく何処かのビルの中に散在するこれらの鉄筋を拾って来て、廃材のように曲げて売りに行く事で、生計を立てているのかもしれない。

彼の脇にあるビルも、どの部屋を見ても、シャッターが閉まり、中はもぬけの空なのである。

彼はそれらの廃墟の中のどこかに住む、住人のようである。