「天空の三日月」
<<スペイン>>--セビリャ--


船上から見上げる空には、三日月がくっきりと浮かんでいた。

暮れなずむ茜空と、街のシルエット、三日月の上に光る星は金星だろうか。

空に突き出た不思議な形をした二本の塔は、一体何なのだろうか。

酔いが少し回って火照った体に、昼の暑さから涼しさを増した川風が、実に気持ち良い。

こんな光景を眺めていると、自分が今異国の空を見上げているのだという事を、忘れてしまいそうである。

周囲の街並みを見学するクルージングも良いが、こんな幻想的な光景に出会えるナイトクルーズも、捨てた物ではないなと感じた瞬間であった。