「小さな虹」
<<日本>>--代々木公園--


梅雨の合間の、良く晴れた代々木公園の午後のひと時。

静けさが辺りを包み、池の噴水の水が、風に煽られて霧となり、小さな虹を作っている。

黒くシルエットになった手前の木々の葉の先には、初夏を思わせる強い日差しが園内に満ちている。

恥ずかしい話だが、東京の会社に勤務して40年、学生時代から換算すると、もっと多くの年月を東京で過ごした事になるが、此処代々木公園に来たのは、この時が始めてであった。

孫の運動にと、娘の案内で、此処に家族で訪れたのが最初とは、情けない限りである。

眠くなるような午後のひと時を、ベンチに腰を掛けて、過ぎ去った年月の経過を、孫の顔を眺めながら、ぼんやりと思い出している自分が居た。

何と人生の長いようで短い事であろうか。