「エル・グレコの描いたトレド」
<<スペイン>>--トレド--


15世紀後半、グレコが36才の時に描いたトレドの街の光景である。

500年も前に描いた街の外郭は、今まで載せた写真と比較して、ほとんど変わっていないのがお分かり頂けるだろう。

昨日載せたタホ川に架かる石橋も、そのまま描かれている。

丘の上には、アルカーサルの軍事要塞や、サンタ・マリア・デ・トレドの大聖堂、そして微かにサント・トメ教会の尖塔が見える。

当時と比較して、500年を経た現在は、街の斜面に住家がびっしりと建て込んでいる事が興味深い。

絵の位置からして、この絵は、タホ川の対岸の、かなり上流から眺めた景色のようである。

画面が全体に暗い色調で描かれているのは、当時の王フェリペ二世から依頼されて彼が描いた大作、「聖マウリティウスの殉教」が王に気に入られなかった事から、失意の底にあった時に描いたからだと言われている。

こうして現代の光景と比較出来る絵の存在は、とても貴重な物に思えるのである。