「帰り道⑤」
<<インド>>--ヴァラナシ--


路地が石段に差し掛かり、段々と周囲が明るくなって来た。

またまた行く手を、牛がのさばって餌を漁っているが、もうこの状況にも段々慣れて来て、さほど気にならなくなるから、慣れとは妙なものである。

時々見掛ける左に有る不思議な鉄の塔は、一体何なのであろうか。

良く見ると、ヒンズー教の僧たちの絵が掘り込まれているようである。

この時はいささか歩き疲れて、この物体が何であるのか、アラムさんに聞くのを逸してしまったが、今になって不思議な物であったなと気付くのである。

旅の最中には見過ごしてしまったものが、後になって疑問に思うことが、多々有るものである。