「原発事故報告書」の真実とウソ
塩谷嘉雄
文春文庫
著者は日経新聞OBなので案の定、核エネルギーは必要との立場に立っていたが、原発事故報道が「広報」でしか無いと、四つの事故報告書を読み比べ、比較的科学的で論理がマシな国会事故調の報告書でも官邸批判になると怪しくなり「全員撤退」では根拠あいまいになる。
官邸が原子力災害マニュアルを事前に見ていないのは当然で、その内容と意味を説明できなかった官僚の怠慢と無能力こそ問題。
IAEAの安全目標では放射性物質の大放出事故の頻度は10万年炉年に1回、日本の原発だけで福島事故を1回にみなすと1500炉年に一回、3回とみなすと500炉年に1回。日本には54炉あるのだから10年、30年に一回大事故が起こることになる。
日本原子力学界は事故後2ヶ月で津波による自然災害だとしたが、まだメルトダウンも認められていない時点でどうして判断できたのか。
図書館から、古本で半値くらいになったら購入したいと思う。