帰らざる夏
加賀乙彦
講談社文芸文庫
最初図書館から借り出した単行本では重すぎて読み難いので、文庫本を借り直してようやく読み終わった。二分冊の文庫ならなお良かったのだが。
戦争中、将校になるための士官学校に無試験で入れる陸軍幼年学校(有名予備校への予備校までできたそうだ)に入学した少年が立派に軍国少年となり、敗戦の天皇の放送も信ぜず、戦いを続けようとするが果たせず、結局殉死なのか抗議なのか切腹死する。
天皇名で始めた戦争を日本国名で終わらせて良いのか。敗戦時天皇は玉砕すべきだったのか、自害すべきだったのか、卑怯で腰抜けなのか?
じっさいに陸軍幼年学校生だった著者が三島由紀夫事件の後でかいたもの。川口図書館から