悟浄出立
万城目学
新潮文庫
万城目作品を読むのは壮大な嘘が楽しみなのだが、この短編集はちょっと違う。普通なら脇役を主役にしている。
西遊記の沙悟浄が八戒を考えるタイトル作。三国志の桃園の誓いの三義兄弟ではない趙子龍。項羽と劉邦の虞美人。荊軻が始皇帝を襲ったとき、別の建物で竹簡を書いていた男。司馬遷の宮刑のあとに会いに行った娘。
「悟浄出立」は中島敦の「悟浄歎異」の続編だと序にある。
図書館から、1ページ目が破れ透明なフィルムで補修されている。