同時代ノンフィクション10 事件の悲しみ
柳田邦男責任編集
文芸春秋
長い午後:早瀬圭一
私戦:本田靖春
説得:大泉実成 の三作集録
「長い午後」は女子刑務所でのインタヴュー集。姑殺し、子殺し、夫殺しなどは迂闊な結婚によるもの。看守側もインタヴューしているところが偉い。
「私戦」が書くのははヤクザをライフルで射殺後、寸又峡の旅館に人質をとって立てこもった金嬉老事件。作者が在日朝鮮人差別に関心が高いとは言っても「金嬉老をハイジャック犯人と同じ俎上にのせることは出来ない」とか記者達が逮捕に協力したのはいけないとか、異常だ。まだストックホルム症候群ということを知らなかったのであろうが、人質が逃げないから犯人が人格者だとは言えまい。
「説得」は副題が「エホバの証人と輸血拒否事件」。麻雀に明け暮れていた学生?が子供の頃祖母に連れられてエホバの証人に出入りしていた経験を生かして、エホバの証人に潜入取材した。で長老に、病院が強引に輸血してしまったのなら、それはゆるされると言わせる。また、病院の偉いさんがカソリック信者で他人の宗教信念も大事にしたいなどと思っていた。
図書館から