茂山千之丞さん
茂山千之丞さんがお亡くなりになられた。

千之丞さんと言えば京都の大蔵流狂言の茂山家の重鎮で、兄である人間国宝の茂山千作さんと供に学校とかを周って狂言の普及にも大きな貢献をされた方である。

兄の千作さんとはほんとに良いコンビと言うか好対照で、狂言だけでなくいろいろな他分野の舞台や演劇とかも積極的に交流されて、また演出や新作とかにも力を入れておられた方でもある。

先月のひらかた市民狂言では残念ながら拝見できなかったのだけど、夏の納涼狂言祭の時には少し足腰がお悪そうに見えたものの元気にお話や出演されていたので、ほんとうに突然の訃報にいまだに信じられない気分である。

特に、知性派と言うか狂言に関する本も出しておられるし、狂言会では狂言の解説やお話をされることも多くて楽しみの一つであった。

また狂言でも特に兄の千作さんとの競演は至宝と言うか芸術的で、「附子」「宗論」「木六駄」など素晴らしいと言うか凄かったなぁ。

ほんとうに、もう拝見できないのが嘘みたいで残念で仕方ない、ほんとうに狂言界、特に茂山家は大きな財産を失ったよね。

いつかの狂言会でのお話で「狂言を日本遺産にと言う声があるけど私は反対です。遺産と言うのは失った財産ですからね、まだまだ遺産と言われるの困ります」と話されてたのが印象に残っている。


今は病気から開放されて楽になられ、ただ御冥福をお祈りするばかりである。