幽霊人命救助隊
高野和明さんの「幽霊人命救助隊」を読了した。

高野和明さんと言えば「13階段」で乱歩賞を受賞されているが、私は以前に「K・Nの悲劇」と言うホラー小説を読んだことがある。

この幽霊人命救助隊は、ホラーではなくて心温まる小説であった。

大学受験に失敗して自殺した祐一は、同じように自殺した元ヤクザの八木、会社の経営に行き詰って自殺した市川、フリーターで自殺した紅一点の美晴の四人と供に神様から試練を与えられる。

自分の命を粗末にした報いとしてこのままでは天国には行けないが、四人で協力して7週間の内に100人の自殺を救うことが出来れば天国に行ける様にすると言うのだ。

こうして、それぞれ年齢も死んだ時期も違う四人は、協力して自殺しそうな人を探しては救っていくのである。

しかし幽霊と言っても空も飛べないし、物を通り抜けることもできない。

自殺しそうな人を見分ける事ができるゴーグルを頼りに探し、相手の身体に入り込んで気持ちを読み、耳元で呼びかけることで影響を与えるくらいの事しかできないのである。

それでも、自殺を考えている人の気持ちを読んで対策を考えて、人命を救っていくのである。

自殺を考える理由もそれぞれで、孤独・絶望・病苦・うつ病・借金・イジメなど人によって違うのである。

小説なので、そこは割りと簡単に自殺から救えるように進んでいくが、実際にいろいろな理由があって深いよなって考えてしまう小説であった。

別に難しい本ではなくて、笑いどころもそこそこあるのだが、それでも心が温まる思いがするお勧めの一冊である。