生六道地蔵菩薩
京都の嵯峨野にある薬師寺さんの地蔵盆の特別御開帳へ行ってきました。

薬師寺さんは嵯峨釈迦堂こと清涼寺の境内にある小さなお寺ですが、基本的に非公開のお寺です。

しかし、年に1度の8月24日の地蔵盆にのみ本堂を御開帳して一般も拝観出来るのです。

この薬師寺さんには、弘法大師作と言われる御本尊の心経秘鍵薬師如来像や、恵心僧都の作と言われる阿弥陀三尊像があります。

そして、私が一番見たかったのは小野篁作と言われる生六道地蔵菩薩像です。

小野篁と言えば、冥府へ通い閻魔王の副官として働いていたとか、六道珍皇寺の通いの井戸から冥府へ行っていたと伝説されています。

その六道珍皇寺の通いの井戸が冥府へ行く井戸であるなら、冥府から現世へ帰るのは帰りの井戸が、嵯峨野の福生寺にあり、その場所を生の六道と呼ばれていたと伝説されています。

しかし、その福生寺は今は無く、清凉寺にある薬師寺と一緒になり、福生寺の仏像などは薬師寺へ移されました。

その中の生六道地蔵菩薩は、かつて小野篁が地獄へ赴いた折に、地獄の火焔の中を歩く僧を見かけました。

僧の身でありながら、どんな悪事で地獄へ落されたのかと僧に問うと、僧は、この地獄の火焔のに苦しむ亡者を救うために、亡者に代わって苦難を受けているのだと答えました。

小野篁が、驚いて僧を見直すと、それは高貴な僧の姿であり、我が身を犠牲にして庶民を救おうとする大慈悲の生六道地蔵菩薩の姿だったのです。

小野篁は現世に戻ると地獄で見た生六道地蔵菩薩の姿を彫って仏像とし、嵯峨野に福生寺を建てて、仏像を安置したと言う伝説になっています。

先に書いたように、その生六道地蔵菩薩は福生寺から薬師寺へ移されて、年に1度の8月24日の地蔵盆に御開帳されるのでした。

小野篁ファンとして、前からずっと見たかった生六道地蔵菩薩さまは落ち着いた静かな表情の地蔵菩薩様でした。

その、地蔵菩薩さまの横には、小さな小野篁像と閻魔王の像も祀られていました。

ずっと見たかった仏像をやっと見ることが出来て感動してました。