清盛の楠
京都の西大路八条に「若一神社」と言う神社がある。

この若一神社は、現在某放送局でドラマが放送されている平清盛に所縁の神社である。

もともとは平清盛の邸宅があった地域で、清盛が邸内に熊野権現を勧進しようとして祈願して、神託により土中から若一王子の像を発見して、それを祀った神社だそうである。

その若一神社は西大路通りに面しているのだが、歩道をはさんだ位置に離れ小島のような形で楠が祀られている。

清盛が自ら手植えした楠だそうであるが、その楠だけが神社の外に不自然になっているのは理由があるのである。

もともとは若一神社も道路の真ん中付近にあったそうであるが、西大路通りに市電を通す時に神社は邪魔になるので東側に移動した。

そして楠も移動させようとしたが、職人や関係者に次々と不幸が訪れたのである。

また伐ろうとした者が木から落下したり、家族に不幸があったりで、いつしか祟りの楠と怖れられるようになり、とうとう計画を変えて楠はそのままにして市電の線路を避けるように変更し、楠が道路と歩道に挟まれるような異様な形になってしまったのである。

私の実家からも近いので子供の頃から何度も前を通っているのであるが、市電も車も楠を避けて通っていたのですごく印象に残っていた記憶がある。

各地で、このようにたたりを怖れて動かせない木の話を聞くこともあるが、市の市電の計画さえ変更させてしまったのも本当に怖れられていたのだろうね。