沙羅双樹
今日は昨日からの雨が、朝になってようやく上がったが蒸し暑い曇り空である。

京都の「妙心寺」の塔頭である「東林院」は「沙羅双樹のお寺」として知られていて今年も沙羅の花が咲く時期になったので見に行ってきた。

東林院は普段は拝観できないお寺なのだが、この「沙羅双樹」の花が咲く6月中旬から下旬にかけて「沙羅の花を愛でる会」として抹茶付き(和菓子あり)拝観として1580円で拝観する事ができる、少しお高いけどね(精進料理付きもあり)。

沙羅双樹と言えば平家物語の「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」の分に出てくる、あの沙羅双樹である。

沙羅の花は本来はインドの植物で熱帯樹のために日本では育ち難いそうで、代わりに日本では「夏椿」の事を沙羅と呼ぶそうである。

この沙羅双樹は沙羅の木が途中で二本に分かれているので双樹となり、沙羅の双樹で沙羅双樹と言う事になる。

このお寺の沙羅双樹は樹齢が300年にもなる老木で3年前までは花をつけていたが、一昨年からとうとう花をつけなくなってしまったので、この木から種をとって植えた二代目の沙羅の木を庭に何本か植えられており、こちらは元気に白い花を咲かせていた。

沙羅双樹と言えば有名なのが平家物語に出てくる「祇園精舎の鐘の声、所行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす・・・」の部分である。

この沙羅双樹の花は、朝に咲き、夕に散っていく一日花と言われ「形のあるものは必ずこわれていく、形の美しいものも、その姿を永遠に保つ事はできない」と言う事を語っているように思う。

白く美しい花が、そのまま散っていくのは哀しくもあり、また美しくもあるものである。

樹齢300年の沙羅双樹の老木が花をつけなくなり、二代目の木が代わって花を咲かせていく・・・まさしく諸行無常、盛者必衰と言うところなのかも知れない。