小野小町草紙洗井
京都の一条戻り橋を東へ渡り、少し行った所に小町通りがあり、幾つか小町と書いた石碑があります。

その中でも、一条通りと小町通りの角にある小さな石碑には「小野小町・雙紙洗水遺跡」と刻まれているのだが、今ではビルの壁に邪魔されて読めなくなってしまっていました。

昔に来た時は読めたのですが残念です。

かつて、この付近に「小町草紙洗ノ井」と言う井戸があったのですが、それも今は無くなり、小さな石碑にその名残りを残すのみです。

小野小町と言えば、六歌仙の中でも1人だけの女性でした。

六歌仙の1人の大伴黒主は小野小町が気に入らず、黒主と小町の歌合わせの時に嫌がらせをしました。

小野小町の書いた歌を、万葉集の中の歌と書き換えて、盗作だと追い詰めようとしたのです。

しかし、歌を出す寸前に小町は気付き、草紙を井戸の水で洗い書き換えられた歌を消して、新たに書き直して難を逃れ、黒主の悪巧みは失敗したのでした。

この話は謡曲にもなり人気をはくして、井戸の側には小町塔が建てられた事もあったそうですが、今は小さな石碑に名を残すばかりです。

この堀川の付近はかつては水のきれいな場所だったらしく、小町の井戸も清和水とか更級水と呼ばれ、京の名水の1つだったそうです。