三島屋変調百物語
宮部みゆきさんの三島屋変調百物語シリーズの「おそろし」と「あんじゅう」を読んだ。

宮部みゆきさんは、これまでにも時代物の怪談物を書いてられるが、その集大成とも言うべきシリーズが三島屋変調百物語である。

江戸の神田にある三島屋は袋物や小物を扱うお店であり、主人の伊兵衛と妻のお民が頑張って発展させたお店である。

そのお店に、伊兵衛の姪のおちかが働きにやってきた。

おちかは、実家の旅籠で悲惨な出来事が起きて、心に大きな傷を負い、その傷を癒すために三島屋で働く事になったのである。

ある日、偶然に伊兵衛の留守に客人の相手をおちかがしなくてはならなくなり、その中で客人の経験した怪奇談を聞かされてしまう。

それが、おちかの心の傷にも影響を与えたように思えたので、伊兵衛は怪談を語ってくれる客人を求めて、訪れる人の相手をおちかにさせる事でおちかの心の傷の癒しになればと考えて、変り種の百物語を行う事になったのだった。

本の中には一応は一話完結の中篇程度の怪談が一冊で4~5話語られるている。

また、それぞれの登場人物や話が次に関わったりし、「おそろし」では、次々に語られる怪談の登場人物や出来事が最後の話で結集して一応の完結を迎える事になっていて長編としての要素もある。

また、作者の宮部さんらしく怖い話だけでなく心和む優しい怪談もあり、「あんじゅう」の表題作でもある「あんじゅう」の話とかジブリのトトロを思わせる優しく心に残るお話である。

中のお話もどれも良くできた話ばかりでさすが宮部みゆきだなって思うね。

ただ、ほんとうに百物語になるならいつまでかかるのだろうかと考えてしまうよ。