懸想文
京都の平安神宮の北の方にある須賀神社・交通神社では、毎年の節分の2月2日・3日だけに「懸想文売り」が現れて「懸想文」(1000円)を境内で売り歩く。

懸想文売りは、烏帽子・水干姿で肩に梅の枝を担いで、手には懸想文を持っている。

その懸想文売りに声をかけて、懸想文を売ってもらうのである。

昔の京都では、こういう懸想文売りが正月始めに現れて、年頃の娘さんはこれを買い求めると良縁に恵まれると言われていて、その風習が須賀神社で節分に続けられているのだそうだ。

この懸想文は良縁に恵まれて商売繁盛など願いを叶えてくれるお守りであり、特に女性が人知れず鏡台や箪笥に懸想文を忍ばせておくと、容姿端麗・美しくなり、着物が増えたり良縁に恵まれたりと、女性にとって幸運をもたらしてくれるお守りでもあるのだ。

懸想文とは、判りやすく言えば昔のラブレターであり、この懸想文を開くと中には昨年の干支の「卯」から今年の干支の「辰」への恋文となっている。

わざわざ遠方から買い求めに来る女性も多いそうで、女性に人気の節分の行事である。