神様のカルテ
夏川草介さんの「神様のカルテ」(小学館)を読了した。

長野県の松本平にある本庄病院に勤務する少し変わり者の医師、栗原一止の病院での患者との触れ合いや居住する御岳荘と言うアパートでの住人との生活を描いた感動作である。

作者の夏川草介さんも実際に長野県の病院で地域医療に従事されてるそうなのでそういう経験も生かされてる作品だと思う。

登場人物は誰も個性的な人物ばかりなのだが、みんなが優しい人ばかりで読んでいてほのぼのしてくる小説である。

終盤の一節にこう言うのがある・・・


病むということは、とても孤独なことです

先生、どうかご苦労の絶えぬ身とは思いますが、私にくださった温かい時間をこれからも多くの孤独な人たちにつくってあげてください。いつもなにか考え込んでいらっしゃる様子をお見受けしましたが、私には相談に乗って差し上げるだけの器量も時間もありませんでした。dもひとつ確かなことは、先生は私にすばらしい治療をしてくださったということです。

病いの人にとって、もっとも辛いことは孤独であることです。先生はその孤独を私から取り除いてくださいました。たとえ病気は治らなくても、生きていることが楽しいと思えることがたくさんあるのだと、教えてくださいました。

万が一、先生が何事かにつまずき自信をなくしてしまうようなことがあった時は、私は声を大にして言います。

私は先生のおかげでこんなにも楽しい時間をすごせました、と


この一説を読んだ時に泣いてしまったよ。

本の帯びに書かれている「患者に心を寄り添わせてくれる医師の言葉には、先端医療にも匹敵する治癒力がある」、そういう言葉が染みこんでくる暖かい本であった。