潅頂院の朱馬
京都の東寺の弘法さんは今月は中止ですが、4月21日には潅頂院の絵馬の御開帳されるので行ってきました。

ちなみに明日からは東寺も拝観中止だそうです。

東寺の境内でも南西の角にある「灌頂院」(かんじょういん)と言う塔頭があり、ここは修行によりある程度の水準に達した僧侶に真言密教の継承の儀式(灌頂の儀式)が行われる場所であり、他にも重要な密教儀式を行われたりするので、普段は門を閉ざして非公開とされています。

この灌頂院の門が一般にも開かれるのが1月8日~14日までの「後七日御修法」の時と、4月21日の「正御影供」の時期だけです。

その4月21日には、灌頂院の中にある「閼伽井」(あかい)と言う井戸を蓋うお堂の庇に三枚の絵馬が架けられます。

閼伽井は灌頂院の北門を入って西側に小さなお堂が建っているのがそうで、お堂の中には閼伽井と言う井戸があり、かつては神泉苑とも繋がっていて水を涌かせていたが、新幹線の工事のおりに枯れてしまったそうです。

現在では儀式の時などは神泉苑から水を汲んでくるとも聞いた事があります。

このお堂の正面に先に書いたように、4月21日にだけ三枚の絵馬が架けられて公開されます。

この絵馬は「朱馬」と言い、白い四角い板に赤い色で馬の姿が描かれた物で、かつて弘法大師が毎年一夜にして絵馬を書き上げ、それによって吉凶の占いを行った事に由来するそうです。

現在でも、4月21日に徳のある僧正が灌頂院の締め切った暗闇の中で一枚の朱馬を一気に書き上げるそうで、読経して精神を集中すると弘法大師が降りてきて僧正の手に憑いて描かせるとも言われており、この朱馬の絵馬を見る者の邪気を祓い、幸運を運ぶと言われています。

閼伽井には三枚の朱馬が架けられますが、毎年に描かれるのは一枚で、この三枚の朱馬の絵馬は、三枚のうち右が昨年の物で、左が一昨年の物、真中が今年の物だそうです。

その朱馬の馬の絵の具合で三枚の絵馬を見比べて、馬の顔が長い年は長雨が続くとか、胴が長いと日照りが少ないとか言う具合に、馬の絵でその年の天候や農作物の出来をそれぞれで占います。

昔は東寺の付近にも畑や農家もかなりあり農作や天候の占いも大事だったのだろうし、遠くからも見に来たそうです。

確かに三枚の朱馬の馬を見比べると微妙に違ってたりして、目の具合や足の上げ方や尾の様子などでも占えるそうで、それぞれに吉凶を判断できるのが面白いかも知れないですね。

さて今年の天候や農作物の出来具合、吉凶はいかがでしょうか?

右にある昨年の朱馬は少しぽっちゃりしてずんぐりもっくりの感じですね。

真ん中の今年の朱馬はスマートで躍動的に見えますが、皆様の感想はいかがでしょうか?

今年は、コロナウイルスの影響で農作物の出来や世相も大変ですが、早く治まって回復に向かうように願うばかりです。