蝸牛
そろそろ梅雨も近くて紫陽花の咲く時期になりました。

この時期にされる狂言で「蝸牛」と言うのがあります。

蝸牛は、カタツムリつまりデンデン虫のことですね。

昨日に護摩焚きで修験道の方を見て山伏問答を聞いていたら狂言の蝸牛を思い出してしまいました。

おそらく山伏問答を参考にされた狂言かも知れないですね。


「蝸牛(かぎゅう)」

山伏

太郎冠者

主人


山伏は、朝早くから歩いているので、少し疲れたので竹薮で昼寝をする。

一方、主人から「カタツムリ」を探してくるように言い付かった太郎冠者だが、かたつむりがどのような物か判らない。

主人にカタツムリがどう言うものか訪ねると、主人はカタツムリは「竹やぶにいる」「頭が黒い」「背中に貝殻をつけている」「ときどき角を出す」の手がかりを教える。

太郎冠者は言われるままにカタツムリを探しに竹藪に出かけたのだが、そこには山伏が居眠りしていた。

山伏をカタツムリかと思った太郎冠者だが、山伏に訪ねてみると、山伏は太郎冠者をからかおうと自分がカタツムリだと嘘をつく。

カタツムリの条件にも頭が黒いと言うのには頭に着けている黒い兜巾(ときん)を見せ、背中に貝殻を着けているには法螺貝を見せ、角を出すには角を出すふりを見せて、山伏は何とかこじつけて太郎冠者を騙す。

山伏をカタツムリだと信じた太郎冠者に、主人の所まで来て欲しいと頼まれた山伏は、囃し物をするなら行っても良いと言う。

そこで、太郎冠者と山伏は

「雨も風も吹かぬに、出な釜打ち割ろう」「でんでんむしむし、でんでんむしむし」と囃して踊る。

そこへ、太郎冠者を心配して主人が現れて、太郎冠者が山伏に騙されているのを知り、太郎冠者を叱りつける。

太郎冠者は、騙されたのかと思い、山伏に文句を言いに行くと、山伏の囃しと踊りにつられてしまい、また一緒に囃して踊ってしまう。

そこで、主人が二人に叱りに行くと、主人も同じようにいつしか囃しと踊りに浮かれてしまい、三人が一緒に囃して踊ってしまう。


この狂言はカタツムリを知らない太郎冠者が山伏をカタツムリと思い込んでしまう面白さと、最後には主人さえも囃しと踊りに浮かれて一緒に踊り出してしまう可笑しさにあります。

掛け合いも動きも、いつみても面白い狂言ですよ。