ヴァンパイアハンター・リンカーン
セス・グレアム=スミスの「ヴァンパイヤーハンター・リンカーン」を読了した。

先月にティム・バートン監督で映画公開された「リンカーン/秘密の書」の原作となった小説である。

物語は、作者がある人物からリンカーンの日記をたくされ、それを元に本を書くという趣向である。

時は建国期の新大陸アメリカ、そこでは人にまぎれて吸血鬼が移民してきて、闇で勢力を増やしている背景がある。

そのなかで、後に大統領となるリンカーンの少年は吸血鬼に母を殺されてから吸血鬼の存在を知り、吸血鬼を憎んで退治しようと決意する。

その中でリンカーン少年はヘンリーと言う吸血鬼と出会い、その吸血鬼から協力を得て吸血鬼を狩って行くようになるのである。

吸血鬼には、白人と暗約して黒人を吸血鬼の食料として差し出すようにする一派があり、またそれに反して静かに潜もうとする一派があり、吸血鬼の内で争いが起きており、それを人間を利用して大きな流れになっていくのである。

そういう吸血鬼同士の争いが黒人問題や南北戦争へと繋がって行くのであった・・・


リンカーンの日記を紹介しながら物語は進んでいくのだが、巧みに史実や実話・登場人物など絡んで行き、挿絵や写真も史実か虚構か判らないように配されていて、どこまで本当か虚構か判らなくなってしまう。

吸血鬼と言う素材をリンカーンに絡める発想も面白いが、アクションやホラーではなく、まるで歴史書のように語られていく物語が面白かったよ。