フランケンシュタイン
先日の吸血鬼ドラキュラに続いて、メアリ・シェリーの「フランケンシュタイン」を読了した。

フランケンシュタインと言うと、誰もが映画の頭が平で目が落ち込んで、首にボルトが刺さったその姿を連想すると思うが、フランケンシュタインと言うのは天才科学者の名前で、彼の創った生命は「怪物」としか書かれていなくて名前はないのである。

映画と違い、原作のフランケンシュタインは、主人公の天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインの事で物語りは北極を目指して航海している海洋冒険家のウォルトンの手紙から始まるのである。

北極への冒険を目指すウォルトンの船は氷河に阻まれて船が停止していたが、そこへソリに乗った一人の人間と出会ったのである。

その人間はヴィクター・フランケンシュタインと言い、身体は疲労で衰弱しているが、もう一つ別のソリを追っていると言う。

そしてウォルトンは、船に保護されたフランケンシュタインから、不思議な身の上話を聞かされるのだった。


天才科学者のヴィクター・フランケンシュタインは愛する両親と恋人、それに可愛い弟や信頼する親友に恵まれていたが、留学先のイギリスの研究室で集めた死体などから新しい生命を生み出す事に成功するが、あまりの醜悪さに怖れて逃げ出してしまう。

そして・・・物語はフランケンシュタインによって生み出された怪物の絶望と憎しみ、生みの親であるフランケンシュタインへの愛憎。

またフランケンシュタインは生み出した怪物の憎しみの報復として愛する者を次々と殺害されていく恐怖と怒り。

それらの感情の物語が綴られていくのであった。

原作の怪物は言語も堪能で知能も高く、映画などの印象とはまるで違っている。

物語は、ホラーと言うよりも新たな命を生み出してしまった者と生み出された命の葛藤の物語でSF作品と言って良い位置にあり、SF小説の原点と言っても過言ではないと思う。

いろいろと考えさせられる内容であるが、物語としても面白く古い作品であるがお勧めしたい一冊でもあると思う。