小野皇の本
最近、また小野皇に関して調べることがあり、その関係もあって二冊の本を読んだ。

小野皇と言えば、平安時代初期の人物で内裏の役人であり、頭脳明晰で反骨精神があり、遣唐使の副使に選ばれながらもトラブルから病気として乗船を拒否し、その罪で島流しに遭いながらも、その才能と人柄を惜しまれて僅か2年程度で都に復帰した人物である。

詩歌にも優れ、百人一首にも参議皇として「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人のつり舟」の歌が載せられている。

また不思議な伝説の多い人物で、地獄へ通じる井戸からこの世とあの世を行き来していたとか、地獄で閻魔大王の補佐をしていたとか言われており、またその反骨精神から野相公とか野狂の人とか呼ばれていたとされている。

その小野皇の本であるが、一冊目は猪俣樒さんの「小野皇 那由他之獄焔」と言う本で、こちらは小野皇の地獄へ出入りしていたとか閻魔大王との関係とかの伝説をもとに、小野皇と藤原良相が都でおきる不思議な事件の謎を解いて解決していく物語で、何となく夢枕獏さんの陰陽師に似た感じの作品であるが少しページが少ないのが物足りない感じがする。


もう一冊の方は、渡辺郁子さんの「最後の遣唐使 副使を蹴った男 小野皇」と言う本である。

こちらは伝説の小野皇ではなくて、実在の人物としての小野皇の精錬潔白で慈愛に満ち、優れた人物である小野皇が、なぜ遣唐使の副使を仮病で断ったのか、遣唐使の実情や小野皇の人柄、それに権勢を広げる藤原氏との関係などを軸に、小野皇の家族や周りの人たちとの姿を描いた人間・小野皇の物語となっており、なかなか面白くて興味深く読み終えたよ。

もともと小野皇は大好きだけど、ますます好きになってもっと本を読みたいよ。