万勢伊さん
京都の人形の寺、宝鏡寺の万勢伊さんと言う日本人形があります。

宝鏡寺の人形の中でも特別な存在です。

関節を曲げられる「三折(みつおり)人形」というタイプのお人形で、足を折り曲げればきちんと正座させることもできるようになっています。

宝鏡寺は、皇室の姫君が入られる門跡尼寺でした。

姫君達は、お人形でのままごと遊びを通じて、家事や礼儀作法などを学んでいたと言われています。

お人形には、幼くして親から離れてしまった姫君達の心の拠り所となると同時に、一種の教材としての役割もあったのです。

この万勢伊さんは、当初は第21代の門跡の本覚院宮のために贈られたものだそうです。

本覚院宮は大変万勢伊さんを気に入っておられました。

万勢伊さんは本覚院宮の後も、浄照明院宮、三麼地院宮と三代に渡って可愛がられたそうです。

それ故か、万勢伊さんには魂が宿り、夜回りなどをして寺や姫君の安全を護られたそうで、これは宝鏡寺の説明でも公式に書かれています。

宝鏡寺は、普段は非公開ですが、春と秋には特別公開がされています。

3月の土日などには公開されますので、優雅な皇室所縁の雛人形などを見られるのも良いかと思います。