清滝トンネル
京都の嵯峨野と言えば多くの観光客が訪れる観光地であるが、その嵯峨野の奥の嵯峨野鳥居本を通る国道137号線で愛宕念仏寺を過ぎた付近に、清滝トンネルと呼ばれるトンネルがある。

この清滝トンネルは、かつては愛宕神社参詣のため戦前に敷設された愛宕鉄道の鉄道専用トンネルで、昭和4年(1929年)に開通したと言う。

しかし、鉄道は昭和19年(1944年)に廃線となり、その後は路線跡は府道として利用され今日に至ると言う。

この清滝トンネルが、京都でも有名な心霊ポイントだと言われ、都市伝説のようにいろいろな怪談が語られているそうだ。

近くに京都の葬送地であった化野があり愛宕念仏寺や化野念仏寺などのお寺や墓地も多いからか、幽霊の目撃談と言われる者も様々あると言う。

それらは、トンネル工事中に事故死した作業員であったり、あるいは昔の格好をした老婆や子どもの姿が目撃されたという噂もあるようだ。

また、トンネル内を通過している車のフロントガラスに女性の幽霊が落ちてくると言う話もあり、さらにそれを見た者は発狂するとも言われているそうである。

それらの中で、特に有名なのがトンネルの信号にまつわる怪談である。

この清滝トンネルは幅が狭くなっているため、信号によって嵯峨野側と清滝側との交互通行となっている。

それで、トンネルを通行しようとしてやってきて、それで信号が青だったとしても、そのまま進んではならないと言う。

何でも青は車を招きいれようとして青になっているそうで、そのまま通らずに、一度停止して信号が赤になるのを待ち、再び青になってから進まなくてはいけないのだそうだ。

清滝トンネルは、先ほど書いたように幅が狭く交互通行であるのに加えて、トンネルの長さも500メートルと長いので、通っていると向こう側から車が来るのではないかと言う真理的な怖さも影響しているようにも思う。

また、信号が青の時間は短いために、うまく青の信号に当たる確立が低いことも伝説が生まれた素地のような気がする。

他にも、このトンネルは行きと帰りでは長さが違うと言うのもあるそうだが、これなどもトンネルと言う場所柄から、心理的な怖さから来た物のような気がする。

なお、このトンネルを通らずに、その上を行く山越えの清滝道を行くと峠の頂上付近に真下を向いたミラーが付けられていて、そのミラーには子供の幽霊が映るとか、あるいは自分の姿が映らなかった人は死ぬといった噂もあると言う。

真下を向いたミラーと言うのは不気味な感じもあるが、これは実は、道が急な上がり坂と下り坂になっているために、下から上がってきた車が歩行者などがいないか確認するためにミラーが下を向いているのだそうだ。

なお清滝トンネルは始めに書いたように京都でも有名な心霊スポットだそうであるために、深夜に肝試しの訪れる人も多いようで近隣の人には迷惑になっていると言う。

ちなみに、この清滝トンネルは昼間は市バスも通るトンネルでもあり、私が取材に訪れた時も、中に入るのが嫌なので入り口から様子を窺っていると、向こうから何か物音と供に何か大きなものが来るといぶかしんでいると市バスがやって来て驚いたものだった。

京都では、他にも五条トンネルが心霊スポットだとも言われている。

京都以外でも、トンネルが心霊スポットとして都市伝説が生まれているのは各地に見られる現象である。

その真偽はともかく、トンネルは昼間でも暗いし通るのに怖い部分も判るので、トンネルが心霊スポットとして伝説を生むのも仕方ないような気がする。

ただ、だからと言って興味本位や遊びでそういう場所に集まったり見に行くのは、付近の人には迷惑でしかなく、また危険な行為だと認識して止めておいて欲しいと思う。