菊野大明神
京都で縁切りと言えば安井金比羅宮が有名ですが、観光地化して観光客や遊び気分で訪れる方も多いですね。

京都で、本気の縁切りと言えば知る人ぞ知るのが「菊野大明神」です。

菊野大明神は、「菊野さん」と呼ばれる神石をお祀りした祠で河原町二条にある「法雲寺」の境内にあります。

その御神体の「菊野さん」にはいろいろな伝説があります。

伝説の一つは、むかし、お寺に一人の山伏が来訪し「きくのという石があるか」と尋ねました。

住職が「知らない」と答えると山伏がある場所を指し、掘ってみると「石」が出てきたとか言われています。

山伏は「その石だ。それをお寺の東庭に西にむいて安置し、大切に祀れば悪縁に悩む人を助け良縁に恵まれるだろう」と言い残し立ち去りました。

お寺ではその通り安置し、山伏が「きくのという石」と言ったことから「菊野さん」と呼ばれるようになり、それ以来人々に信仰されてきました。

なぜ「きくの」と言うのか、石にどんな由来があるのか山伏は何も話さなかったそうです。

また一説には、「橋姫伝説」に所縁の伝説で、許嫁に裏切られた公家の娘が貴船神社に祈願し、宇治川に身を浸して鬼になり男に復讐する橋姫伝説が有名でして、その娘が貴船神社にお参りする途中に腰掛けて休んだのが菊野さんの石という説があります。

別の説では、小野小町と深草少将の「百夜通い」の伝説にも関わりがあると言い、深草少将が小野小町のもとへに通う途中で腰掛けた石という説があり、叶わなかった思いが怨念になっているそうです。

いずれにせよ男女の恨みが染み込んで良縁や仲の良い夫婦や恋人に障るのかも知れないですね。

かつては婚礼行列も決してこの石の前を通らなかったそうです。

以前は別のお寺にあったのが、そのお寺が引っ越した折に残されて、それが法雲寺が引き取ったと言われています。

縁切りとして深く信仰されてたそうで、昔はお堂の中に藁人形があったり、女性の髪の毛が巻かれてたり壮絶な雰囲気があったと聞きます。

私も何度か訪れた事がありますが、お堂は暗く独特の雰囲気で、中に入るだけで身体が重くなったり厳粛な気分になったり、いろいろな思いが篭っているのを感じてしまいます。

お堂内は撮影禁止なのですが、以前に一度撮内部を影した時に、お寺を出ると急に悪寒がして吐き気がし体調を崩して気分が悪くなったので、これはまずいと思い、撮影した写真を削除してお寺に戻って謝罪して回復したと言う事が実際にありました。

私に実際にあった体験です。

多くの人に縁切りとして信仰されている場所で、けっして観光気分や遊び感覚の興味本位で訪れる所ではないと思います。

私の中で京都の怖い場所の三本に入る場所です。