桜色迷宮25
「おや? いつから2人は手に手を重ねて見つめ合うような素敵な仲になったんだ?」
「会長! そういう冗談はやめて下さいよ。何だってオレがこいつなんか」
「そうか。小池が僕のことを……。知らなかったよ。今まで気付かなくてごめんな」
「美幸ぃ! お前今自分で言った言葉忘れたのかよ! オレの味方になるって言った舌の根も乾かねーうちに」
 小池先輩は本当に気の毒だったけど、あたしはみんなのやり取りが面白くて、久しぶりに声を上げて笑ってしまった。
「オレも小池をからかってやりたいところだけど、時間も遅くなったから始めさせてもらうよ。 ―― まず、成績下がった奴いるか?」
 この会長の問いに返事をした人はいなかった。
「現状維持の奴」
「オレ、去年と一緒」
 この返事をしたのは小池先輩。でも先輩の現状維持はオール5だ。いつもふざけた感じの人だけど、このへんは本当にすごいと思う。
「お前は下がんなきゃいいよ。ほかにはいないな。みんなよく頑張った。生徒会と勉強の両立は大変だけど、どちらもこれからの人生に役に立つことだからね。最後までやりとげて欲しい。夏休みの宿題チェックはまたあとでやるから、堅い話はおしまいだ。次は合宿の話」
 話を聞くみんなの雰囲気が、うって変わって明るくなった。
「朱音ちゃん。一般の参加人数は?」
「52人です。そのほか生徒会役員が8人で、合計60人です」
「男女別の参加人数は判る?」
「役員抜きで男子16人女子36人です」
「そうすると……一二三ちゃん、例年通りの4クラスと、10人1クラスの6クラスとで、男子と女子の人数はどうなる?」
「4クラスの場合は男子が5人か6人、女子が9人か10人です。6クラスなら男子が3人か4人、女子が6人か7人です」
 あたしが計算した人数を聞いて、みんなが思案に暮れてしまった。